インターシティエクスプレス ICE (Inter City Express)
2011年8月 ミュンヘン中央駅にて
インターシティエクスプレス ICE (InterCity Express)はドイツの高速列車である。ドイツ国内はもちろん、周辺各国へも路線を延ばしている。
- 運行区間
ドイツ国内に多数の路線あり。
またドイツから国際線として以下の国への路線を延ばしている。国際線はICEインターナショナル(ICE international)と呼ぶ。
フランス(パリ)・ベルギー(ブリュッセル)・オランダ(アムステルダム)
デンマーク(コペンハーゲン)・オーストリア(ウィーン)・スイス(チューリヒなど)
またスイス・オーストリアでは国内で完結するICEも運行している。
パリ東駅にて 2007年8月 - 所要時間・運行状況
主要路線のみ記す。区間によっては出発駅と到着駅が異なる場合がある。
詳しくはドイツ鉄道ホームページ(http://www.bahn.de/)などで確認いただきたい。
(国内線)
フランクフルトーケルン 1時間弱 1時間に3本ほど
フランクフルトーミュンヘン 3時間 2路線あり いずれも1時間おき
フランクフルトーベルリン 4時間 1時間おき
フランクフルトーハンブルク 4時間 1時間おき
(国際線)
フランクフルトーパリ 4時間 1日5往復(フランスTGVと共同運行)
フランクフルトーブリュッセル 3時間 およそ4時間おきに運行
ブリュッセルーケルン間のタリスThalysの間を埋める形で運転
フランクフルトーアムステルダム 4時間 およそ2時間おき
フランクフルトーウィーン 7時間 1日6往復(乗り換え便含む)
フランクフルトーチューリヒ 4時間 およそ2時間おき
ハンブルクーコペンハーゲン 5時間 2時間おき(ユーロシティECと共同運航) - 予約
可能。基本は予約がなくても乗車できる。
ただしICE sprinterとフランクフルトーパリ線は全席指定で予約が必要である。
国際線は全席指定との話もあるが、これまでの経験からドイツ語圏(ベルギー・オーストリア・スイス)へ向かう列車は予約がなくても問題なく移動できた。
混雑時間帯の列車と短い編成を使用しているハンブルクーコペンハーゲンの列車は予約をお勧めする。 - 車内設備
1等車と2等車がある。食堂車またはバー車両が連結されている。
1等車は1+2列、2等車は2+2列のシートとなっている。また一部車両はコンパートメントになっている。1等車にはメニューがあり、車掌に申し出れば食堂車またはバー車両から食事・飲み物を運んでくれる。
1等コンパートメント室内 2014年12月
1等車内 2014年12月
2等車内 2007年8月 - 乗車記録
これまでICEには数多く乗車しているので、トピックスのみ記す。上記の通りヨーロッパの高速列車は予約が必要とされている列車が多い中で唯一予約不要で気軽に乗れるというところがICEの特徴である。
1) 2006年8月13日 ケルン中央駅-フランクフルト中央駅
初めてのICE。タリスから乗り換えて乗車。列車が遅れていたため1時間早い列車に乗車できた。
2) 2007年8月15日 ケルン中央駅-アムステルダム中央駅
本当はフランクフルト中央駅からアムステルダム中央駅へ向かう予定だったが、フランクフルトーケルン間の高速線で運休となり、ライン川のそばを通るIC(インターシティ)に乗り換えてケルンへ移動。ケルンからは「臨時列車」となったICEで移動し、アムステルダムからの帰国便に間に合った。
3) 2011年8月7日 コペンハーゲン中央駅ーハンブルク中央駅
唯一のディーゼルカーかつ船で車両ごと渡るICEに乗車。
車とともに船で航送中 2011年8月
4) 2015年1月1日 インターラーケン東駅ーベルン中央駅
ドイツ国外のみで利用した例。また乗車した列車はパーセル行きのスイス国内完結のICEであった。また私鉄路線へ乗り入れているICEでもある。
5) 2015年9月21日 ハンブルク中央駅ーコペンハーゲン中央駅
3)の逆ルート。当初デンマーク鉄道のEC(ユーロシティ)に乗る予定だったが、出発直前になって中東難民の団体が乗ろうとしたため運休、そのため次のICE便へ振替となったため乗車となった。 - ICEの車両について
ICEには複数の種類の車両が存在する。ここではそれぞれの特徴を示す。
1) ICE1
初代の車両である。両側に機関車を連結した客車だけで14両(機関車込みで16両編成)で構成されている。客車にモータがないため、走行中は非常に静かである。ICE1には食堂車が連結されている。最高速度は250km/h。
ICE1 ハノーバー中央駅にて 2015年9月
2) ICE2
ICE1との違いは機関車を含め8両編成と短いことである。そのため需要の少ない路線にも展開できるようになったことが特筆される。しかし機関車が最後尾となる場合は最高速度が200km/hと制限されるため、運用上での制約が多いデメリットもある。ICE2にも食堂車が連結されている。
ICE2 編成が短く奥の車両が機関車でないことからICE1と異なる。別のICE2を連結する前の姿 ハノーバー中央駅にて 2015年9月
3) ICE3
ICE1, ICE2のような動力集中方式ではなく、日本の新幹線のような動力分散方式を採用した車両である。8両編成で、2編成を連結し16両で走ることもある。最高速度は320km/hではあるがドイツ国内では300km/hとなっている。フランクフルトーケルン間の高速線の運行は急こう配に強いICE3のみの限定運行である。乗り入れの関係上、オランダ鉄道も一部編成を所有している。
ICE3は海外にも輸出され、中国・スペイン・ロシアでも運行されている。またICE3のデザイナーはJR西日本の500系も手掛けており、正面のデザインは似ている。
ICE3 ケルン中央駅にて 2014年12月
ICE3運転席 客室から見ることができる 2011年8月
4) ICE T
こちらもICE3と同じく動力分散方式の電車である。山岳区間の路線での運用を中心としているため車体傾斜式の電車である。7両編成と5両編成があり、旧東ドイツ方面への列車の他、オーストリア・スイスへ向かう国際便にも使用されている。そのため一部編成についてオーストリア連邦鉄道(OBB)が所有している。最高速度は230km/h。
ICE-T ライプツィヒ中央駅にて 2007年8月
5) ICE TD
非電化区間の高速化を目的としたICEのディーゼルカーバージョン。4両編成であり、他のICEと比べると短い編成である。現在はハンブルクーコペンハーゲン間の通称「渡り鳥コース」のICEに使用されている。「渡り鳥コース」は船で車両ごと航送するがこのICEも船で運ばれる、世界でも唯一船で航送される高速列車である。最高速度は200km/h。一部編成は乗り入れ先のデンマーク国鉄が所有している。
ICE-TD パンタグラフがないのでディーゼルカーであることが分かる。 ハンブルク中央駅にて 2015年9月
6) ICE4
経済性を重視した車両となっている。今後導入予定。12両編成で最高速度は250km/h。 - 安全情報
特に大きな問題は発生していないが、中東難民が集まるドイツなので、それなりに注意しておく必要はある。
- その他
ICEはドイツ国内では路線が入り組んでいて複雑であるが、IC(インターシティー)のダイヤの組み方を継承し、2時間間隔での運行が基本となっている。途中駅で別方向からのICEとの接続を行い、乗り換えを行うことで各方面へ移動する場合の列車間隔を1時間ごとになるようになっている。
またスイスのインターラーケンへ向かうICEは私鉄へ乗り入れている。スイスは私鉄が多く、このように高速列車が乗り入れることはある。 - リンク先
http://www.bahn.de/